2026年8月 中古車輸出統計|144,447台、タンザニアがロシアに1,104台差

2026年8月の日本の中古車輸出台数は、144,447台でした。前年同月の134,772台から9,675台増え、前年同月比107.2%。2026年7月の140,011台と比べても4,436台増え、前月比103.2%となりました。
1〜8月累計は1,137,821台、前年同期比102.7%です。7月は単月で前年割れとなりましたが、8月は再び前年を上回りました。
今回の最大の注目点は、総量の回復以上に輸出先の構成が大きく動いたことです。
首位のロシアは18,024台と前月から24.4%減少。一方、2位のタンザニアは16,920台と46.1%増え、両国の差はわずか1,104台まで縮まりました。
また、ケニアが3位へ上昇し、ザンビアも17位に入りました。上位20か国に入ったアフリカ6か国だけで37,954台、全体の26.3%を占めています。
出典:日本中古車輸出業協同組合(JUMVEA)発表「中古車輸出統計」2026年8月。前年同月比・前月比・構成比はJUMVEA発表値を基準にJapan Carrierが整理しています。数値はJUMVEA統計を基にした公開表とも照合しています。
2026年8月の中古車輸出は前年同月比7.2%増
8月の主要数値は次のとおりです。
指標 | 2026年8月 | 比較対象 | 増減 |
単月輸出台数 | 144,447台 | 2025年8月 134,772台 | +9,675台 |
前年同月比 | 107.2% | — | 7.2%増 |
前月比 | 103.2% | 2026年7月 140,011台 | +4,436台 |
1〜8月累計 | 1,137,821台 | 前年同期 1,107,985台 | +29,836台 |
累計前年同期比 | 102.7% | — | 2.7%増 |
全体は前年を上回っていますが、市場が一様に伸びたわけではありません。
UAEを除いた8月の輸出台数は前年同月比122.6%、1〜8月累計でも前年同期比116.2%です。UAE向けの大幅な落ち込みが全体を押し下げる一方、ロシア、タンザニア、チリ、モンゴル、英国などが増加しています。
つまり8月は、単純な「市場全体の回復」というより、輸出需要の行き先が大きく変わった月と捉えるべきです。
2026年8月 中古車輸出先ランキング上位20か国
順位 | 国名 | 8月台数 | 前年同月比 | 前月比 | 1〜8月累計 | 累計前年比 |
1 | ロシア | 18,024台 | 118.7% | 75.6% | 152,464台 | 131.6% |
2 | タンザニア | 16,920台 | 141.8% | 146.1% | 116,595台 | 169.3% |
3 | ケニア | 7,525台 | 101.9% | 113.9% | 51,272台 | 103.4% |
4 | ニュージーランド | 7,294台 | 116.9% | 91.1% | 62,140台 | 126.6% |
5 | チリ | 6,987台 | 179.3% | 98.7% | 59,966台 | 124.2% |
6 | モンゴル | 6,117台 | 188.9% | 72.7% | 56,694台 | 117.1% |
7 | 南アフリカ共和国 | 5,130台 | 106.7% | 95.1% | 48,911台 | 122.2% |
8 | タイ | 4,878台 | 178.6% | 101.8% | 33,030台 | 94.4% |
9 | ジャマイカ | 4,355台 | 131.1% | 412.0% | 17,961台 | 84.5% |
10 | フィリピン | 3,237台 | 106.7% | 118.7% | 24,839台 | 88.1% |
11 | 英国 | 3,236台 | 152.9% | 115.4% | 25,377台 | 153.8% |
12 | ガイアナ | 3,156台 | 118.0% | 131.8% | 19,482台 | 116.2% |
13 | マレーシア | 3,139台 | 145.2% | 79.0% | 35,275台 | 110.8% |
14 | ウガンダ | 3,010台 | 112.0% | 88.0% | 25,416台 | 102.5% |
15 | キプロス | 2,863台 | 131.1% | 113.1% | 24,695台 | 114.3% |
16 | パキスタン | 2,816台 | 67.7% | 128.5% | 9,571台 | 32.7% |
17 | ザンビア | 2,788台 | 175.2% | 131.1% | 16,432台 | 129.6% |
18 | スリランカ | 2,763台 | 48.1% | 45.2% | 47,126台 | 127.2% |
19 | オーストラリア | 2,645台 | 126.6% | 117.5% | 16,752台 | 140.1% |
20 | ガーナ | 2,581台 | 116.3% | 96.5% | 20,028台 | 128.2% |
— | 総計 | 144,447台 | 107.2% | 103.2% | 1,137,821台 | 102.7% |

ロシア首位でも、タンザニアとの差は1,104台まで縮小
8月も輸出先1位はロシアでした。
ただし、ロシア向けは7月の23,840台から8月は18,024台へ減少しています。前月比は75.6%、台数では5,816台減です。全体に占める構成比も、7月の17.0%から8月は12.5%へ低下しました。
一方、前年同月比では118.7%、1〜8月累計でも152,464台、前年同期比131.6%です。単月では減少したものの、中期的な増加傾向が崩れたと判断するには早いでしょう。
日本の対ロシア輸出規制では、排気量1,900cc超の自動車やハイブリッド乗用車などが規制対象となっています。個別車両が対象となるかどうかは、HSコードや仕様を含めた確認が必要です。経済産業省の対ロシア輸出入FAQでも、中古車ごとに規制対象への該当性を確認するよう案内されています。
規制対象外となる小排気量車などへの需要集中は、ロシア向け輸出台数を支える要因の一つと考えられます。ただし、8月の減少が需要変化によるものか、船積み時期などの月次変動によるものかは、統計だけでは判断できません。
タンザニアは前月から5,342台増加
タンザニア向けは16,920台で、前年同月比141.8%、前月比146.1%となりました。
前月からの増加台数は5,342台です。ロシアの減少幅5,816台にほぼ匹敵し、8月のランキングを一気に接戦へ変えました。
1〜8月累計は116,595台、前年同期比169.3%です。単月だけの急増ではなく、累計でも高い伸びが続いています。
背景として注目されるのが、ダルエスサラーム港のゲートウェイ機能です。
タンザニア港湾公社によると、ダルエスサラーム港はタンザニアの国際貿易の約95%を扱い、ザンビア、コンゴ民主共和国、ブルンジ、ルワンダ、マラウイ、ウガンダ、ジンバブエなどの内陸国にもサービスを提供しています。タンザニア港湾公社のダルエスサラーム港案内
JUMVEA統計だけで最終需要地までは確認できませんが、タンザニア向けの増加を同国国内だけの需要と考えるのは十分ではありません。東・中部アフリカ向け貨物の入口としての需要が含まれている可能性があります。
9月以降は、タンザニアが初めて月次首位になるかどうかが大きな注目点です。

上位20か国のアフリカ6市場で全体の26.3%
8月は、アフリカ市場の存在感がさらに大きくなりました。
上位20か国に入ったアフリカ6市場は次のとおりです。
国名 | 8月台数 | 前年同月比 | 前月比 |
タンザニア | 16,920台 | 141.8% | 146.1% |
ケニア | 7,525台 | 101.9% | 113.9% |
南アフリカ共和国 | 5,130台 | 106.7% | 95.1% |
ウガンダ | 3,010台 | 112.0% | 88.0% |
ザンビア | 2,788台 | 175.2% | 131.1% |
ガーナ | 2,581台 | 116.3% | 96.5% |
合計 | 37,954台 | — | — |
この6か国だけで総輸出台数の26.3%を占めます。
特にケニアは前月6位から3位へ上昇。ザンビアも前月22位から17位へ入りました。タンザニア単独の増加ではなく、東アフリカとその周辺国を含む複数市場で日本の中古車需要が拡大しています。
輸出実務では、仕向け港だけでなく、最終的にどの国で登録・使用されるかも確認する必要があります。内陸国向けでは、港から先の輸送、通関書類、輸入検査、保険条件まで含めて設計することが重要です。
スリランカ向けは3か月連続で前年割れ
スリランカ向けは2,763台で、前年同月比48.1%、前月比45.2%でした。
7月の6,113台から3,350台減少し、順位も7位から18位へ後退しています。前年同月比は6月91.8%、7月53.2%、8月48.1%と、3か月連続で前年を下回りました。
ただし、1〜8月累計は47,126台、前年同期比127.2%です。年初からの高水準によって累計では前年を上回っていますが、足元の減速は明確です。
需要を抑える要因として考えられるのが、車両価格と自動車ローンの負担です。
スリランカ中央銀行は2026年5月25日から、自動車向け融資のLTV上限を10ポイント引き下げました。同中央銀行は、車両輸入への一時的なサーチャージや為替変動による車両価格上昇も判断材料として挙げています。スリランカ中央銀行の発表
輸入額自体が消えたわけではありません。スリランカ中央銀行によると、2026年7月の車両輸入額は2億4,100万ドル、1〜7月累計では14億9,500万ドルでした。2026年7月の対外部門統計
そのため、現在の減少は輸入市場の全面停止ではなく、税負担、価格、融資条件を含めた調整局面と見るのが妥当です。
UAE向けは再び上位20圏外
UAE向けは2,418台で、前年同月比12.8%でした。
7月の3,280台から862台減少し、前月比では73.7%。順位も12位から21位へ下がり、再び上位20圏外となりました。
1〜8月累計は46,501台で、前年同期比27.6%にとどまります。
全体では前年同月比107.2%ですが、UAEを除くと122.6%です。累計でも、全体の102.7%に対しUAEを除けば116.2%となります。
この差から、2026年の中古車輸出市場全体が弱いのではなく、UAEという大規模な再輸出市場の落ち込みが総量を大きく押し下げていることが分かります。
ただし、UAEの減少が最終需要の低下、在庫調整、物流、決済、再輸出ルートの変化のどれによるものかは、輸出台数だけでは特定できません。UAE向けについては、船積み状況と現地流通の両方を継続して確認する必要があります。
ジャマイカは前月の4.1倍、29位から9位へ
8月の最大の順位変動はジャマイカです。
輸出台数は4,355台で、7月の1,057台から3,298台増加。前月比は412.0%となり、順位は29位から9位まで上昇しました。
一方、1〜8月累計は17,961台、前年同期比84.5%です。8月は大きく伸びましたが、累計ではまだ前年を下回っています。
このため、8月だけを見て構造的な成長市場と判断するのは早いでしょう。船積みの集中や前月からの繰り越しなど、月次特有の要因が含まれる可能性もあります。
9月以降も3,000〜4,000台規模が続くかどうかが、トレンドを判断する基準になります。
英国は単月・累計ともに5割超の伸び
英国向けは3,236台で、前年同月比152.9%、前月比115.4%でした。
1〜8月累計も25,377台、前年同期比153.8%です。単月だけでなく累計でも同程度の伸びとなっており、8月の一時的な増加ではないことが分かります。
英国、ニュージーランド、オーストラリアなどの右ハンドル市場は、日本の中古車と相性がよく、今後も車種構成や平均単価を含めて確認したい市場です。
モンゴルは前年同月比188.9%と引き続き高い伸びですが、前月比では72.7%でした。パキスタンは前月比128.5%まで戻したものの、前年同月比67.7%、累計32.7%であり、まだ前年水準からは大きく遅れています。
増加率を見る際は、前年同月比、前月比、累計の3つを分けて読む必要があります。
輸送現場から見る2026年8月の中古車輸出
8月の統計から、輸送実務では次の点が重要になります。
1. 東アフリカ向け船腹の確認
タンザニア、ケニア、ザンビア向けの増加が続けば、東アフリカ航路のRORO船やコンテナ船のスペース、搬入締切、港での保管条件が重要になります。
2. 仕向け港と最終目的国を分けて考える
ダルエスサラーム港から内陸国へ輸送する場合、タンザニアでの通関だけでなく、最終目的国の年式規制、検査、登録条件も確認する必要があります。
3. 月次の急増を前提に在庫を増やしすぎない
ジャマイカのように1か月で台数が大きく動く市場では、翌月も同じ需要が続くとは限りません。仕入れ判断では単月順位だけでなく、累計と複数月の推移を確認することが重要です。
4. 規制と融資条件を同時に確認する
スリランカのように輸入自体が可能でも、税負担やローン条件の変更によって現地の購買力が急速に変わる場合があります。
Japan Carrierでは、RORO船・コンテナ船の手配、輸出通関、輸出前検査、書類作成、外航貨物海上保険まで、中古車輸出に必要な業務を一括してサポートしています。詳しくは中古車の通関・船積みサービスをご確認ください。
2026年9月以降に確認したい5つのポイント
今後は、次の動きを重点的に確認します。
タンザニアがロシアを抜いて月次首位になるか
ロシアの前月比減少が一時的なものか
スリランカが月3,000台前後で底打ちするか
UAEが再び上位20へ戻るか
ジャマイカの急増が9月以降も続くか
1〜8月累計は1,137,821台で、前年同期を2.7%上回っています。市場全体は増勢を維持していますが、その中身はUAE中心の構造から、ロシア、東アフリカ、右ハンドル先進国などへ分散しつつあります。
次月は総量だけでなく、どの国がUAEの減少分を引き受けているのかを引き続き確認する必要があります。
よくある質問
Q1.2026年8月の日本の中古車輸出台数は何台ですか?
A1.144,447台です。前年同月の134,772台から7.2%増え、2026年7月の140,011台からも3.2%増加しました。
Q2.2026年8月の中古車輸出先1位はどこですか?
A2.ロシアです。輸出台数は18,024台、前年同月比118.7%でした。2位はタンザニアの16,920台です。
Q3.ロシアとタンザニアの差は何台ですか?
A3.1,104台です。ロシアが前月から5,816台減少する一方、タンザニアは5,342台増えました。
2026年1〜8月の累計輸出台数は何台ですか?
1,137,821台です。前年同期の1,107,985台から29,836台増え、前年同期比102.7%となりました。
Q4.アフリカ向け中古車輸出はどのくらい増えていますか?
A4.8月の上位20か国にはアフリカ6か国が入り、合計37,954台でした。この6か国だけで総輸出台数の26.3%を占めています。
Q5.スリランカ向け中古車輸出はなぜ減っていますか?
A5.8月は2,763台で、前年同月比48.1%、前月比45.2%でした。税負担や為替に加え、2026年5月に自動車ローンのLTV上限が引き下げられたことが、購買力を抑える要因の一つと考えられます。
Q6.統計の出典は何ですか?
A6.日本中古車輸出業協同組合(JUMVEA)が発表する「中古車輸出統計」です。本記事では、単月、前年同月、前月、1〜8月累計のすべてをJUMVEA発表値に統一しています。
中古車の仕向け国選定、輸入規制、輸出前検査、船積み、通関についてお困りの場合は、Japan Carrierへお問い合わせください。
本記事について
データ集計・執筆:株式会社ジャパン・キャリアー(JapanCarrier)東京都江東区越中島1-2-13 TK門前仲町ビル7F/TEL 03-5875-9239中古車輸出に関わるオークション代行、陸送、輸出抹消事務、通関・シッピング、外航貨物海上保険、自社ヤード(千葉県野田市)を一貫して提供しています。
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