📈 2026年5月の中古車輸出市場レポート!UAE向け急減とロシア首位継続の要因とは?
- 7月22日
- 読了時間: 9分
※本記事は財務省貿易統計(輸出確報)を基にJapanCarrierが集計した中古車輸出データに基づきます。最終更新: 2026年7月18日
2026年5月の日本の中古車輸出台数は137,750台(前年同月比95.5%)と、単月で前年割れとなりました。国別ではロシアが18,257台(前年同月比113.2%)で3ヶ月連続の首位、2位はタンザニアの14,495台(同170.5%)。一方、2025年に年間首位だったUAE向けはわずか283台(前年同月21,333台)と事実上停止し、これが全体を押し下げています。1〜5月累計では695,371台(前年同期比102.5%)と全体はなお増勢です。本記事では、UAE・ロシア・タンザニア・スリランカの急変動4市場の「なぜ」を、規制・物流・為替・決済の観点から解説します。
🌟 2026年5月の中古車輸出動向の統計解析
順位 | 国名 | 2026年5月 | 前年同月比 | 1〜5月累計 | 累計前年比 |
1 | ロシア | 18,257台 | 113.2% | 84,328台 | 127.8% |
2 | タンザニア | 14,495台 | 170.5% | 73,739台 | 183.8% |
3 | ニュージーランド | 8,733台 | 145.1% | 37,583台 | 123.2% |
4 | チリ | 8,298台 | 142.7% | 39,846台 | 118.1% |
5 | モンゴル | 8,085台 | 152.3% | 33,459台 | 88.2% |
6 | スリランカ | 7,335台 | 139.6% | 32,219台 | 243.2% |
7 | 南アフリカ共和国 | 6,693台 | 115.7% | 32,790台 | 128.0% |
8 | ケニア | 6,024台 | 81.7% | 29,556台 | 103.6% |
9 | タイ | 3,532台 | 60.0% | 18,872台 | 78.9% |
10 | マレーシア | 3,502台 | 155.9% | 24,225台 | 113.9% |
— | 総計 | 137,750台 | 95.5% | 695,371台 | 102.5% |
(出典: 財務省貿易統計を基にJapanCarrier集計。参考: [税関 貿易統計])
ポイントは3つです。
1. UAEがトップ10から消滅しました(5月283台・44位圏外)。2025年の年間首位(252,637台)からの変化としては、シリーズ開始以来最大級の急変です。
2. 総計は単月で前年割れ(▲4.5%)ですが、UAEの減少分(前年同月比▲21,050台)を除けば実質は増勢です。需要が消えたのではなく、行き先が変わっています。
3. 累計ではタンザニア(2位・+83.8%)、スリランカ(8位・+143.2%)、英国(+65.9%)・アイルランド(+81.3%)が伸び、東アフリカ直行と右ハンドル先進国市場への「需要の再配分」が鮮明です。🔍 UAE向け中古車輸出はなぜ「ほぼ停止」したのか(5月283台・前年同月比▲98.7%)
結論: 2026年3月を境にホルムズ海峡情勢が急変し、湾岸向けの海上輸送コスト・リスクが跳ね上がったためです。 月次推移を見ると1月17,755台→2月18,023台→3月1,499台→4月966台→5月283台と、3月に崖から落ちるように停止しており、需要の減退ではなく物流・リスク要因であることが分かります。1️⃣ ホルムズ海峡の封鎖威嚇と海上保険料の高騰
2026年3月のホルムズ海峡封鎖威嚇以降、湾岸向け航路の海上運賃と戦争保険料が高騰し、中東向け輸送の採算が急速に悪化しました。輸送中の高級車が経路上で立ち往生する事態も報じられています(出典: [providecars]、[Business Day])。
2️⃣ ドバイ・ジェベルアリ港の入港減
中東最大の再輸出ハブであるジェベルアリ港への寄港・入港が減少し、荷揚げ自体が困難になっています(出典: providecars 前掲)。
3️⃣ 国内オークション相場の高止まりによる採算悪化
日本国内のオークション相場が高止まりし、リスクプレミアム込みの輸送コストを上乗せするとUAE経由の再輸出ビジネスの採算が合わなくなっています(出典: providecars 前掲)。
4️⃣ 再輸出需要の「東アフリカ直行化」 UAEはアフリカ・CIS向けの中継地でもあるため、その需要の一部はタンザニア(ダルエスサラーム港)への直行輸送に振り替わっています。UAEの急減とタンザニアの急増(累計+83.8%)が同時に起きているのはこのためです(出典: providecars 前掲)。 なお、UAEは[2024年12月に4年ぶりにロシアを抜いて年間首位に立った市場]です。わずか1年半でのこの暗転は、中古車輸出ビジネスにおける地政学リスクの大きさを示しています。
📌 信頼できる情報ソース: [providecars(2026年1〜5月分析)] / [Business Day(イラン情勢と中古車貿易)]
🔍 ロシア向け中古車輸出はなぜ規制下でも首位を維持しているのか(3ヶ月連続首位)
結論: 日露双方の規制が「小排気量・低価格帯」を対象外としており、その帯域に需要が集中しているためです。 5月は18,257台(前年同月比113.2%)で、3月以降3ヶ月連続の首位。1〜5月累計では84,328台(同127.8%)に達します。1️⃣ 日本側禁輸の対象外である小排気量・低価格帯への需要集中
日本の対露輸出規制(2023年8月〜)は排気量1900cc超のガソリン/ディーゼル車、HV・PHV・EV、600万円超の車両が対象です。裏を返せば1900cc以下の低価格ガソリン車は合法的に輸出可能であり、この帯域に需要が集中しています(出典: [経済産業省 対露輸出規制FAQ])。
2️⃣ ロシア側リサイクル税引き上げの影響が限定的
2025年12月のリサイクル税引き上げは160PS超(電動車は80PS超)が対象で、日本から輸出される主力の小排気量車の多くは対象外です(出典: [中古車相場大学])。
3️⃣ ロシア国内の中古車供給不足という構造要因
制裁で日欧韓メーカーが撤退した結果、ロシア国内では3〜5年落ちの日欧韓車の供給が細っており、日本からの並行輸入がその穴を埋めています(出典: [JETRO 2026年ロシア市場分析])。
4️⃣ 高金利下での「新車より割安な中古車」シフト
ロシアの高金利環境で新車ローンの負担が重く、割安な中古車への需要シフトが続いています(出典: JETRO 前掲)。
5️⃣ リスク要因: 中国車との競合
一方でロシア新車市場は中国メーカーがシェアを拡大しており、中期的には日本製中古車の競合になります。首位継続を所与とせず、月次での監視が必要です(出典: JETRO 前掲)。
🔍 タンザニア向け中古車輸出はなぜ急増し続けるのか(前年同月比170.5%・年間2位へ)
結論: UAE経由だった東アフリカ向け再輸出需要が、ダルエスサラーム港への直行輸送に置き換わっているためです。 5月は14,495台(前年同月比170.5%)、1〜5月累計は73,739台(同183.8%)で、ロシアに次ぐ累計2位に浮上しました。1️⃣ UAE経由需要の直行化という「棚ぼた」
前述のホルムズ情勢により、従来ドバイを経由していた東アフリカ向けの再輸出が、タンザニア直行に振り替わっています(出典: providecars 前掲)。
2️⃣ 2025年から続く構造的な成長トレンド
タンザニアは2025年通年で117,489台(前年比153.7%)と、ホルムズ情勢以前から高成長でした。2025年度上期時点で前年比+59.8%と報告されており、直行化はこの既存トレンドを加速させた形です(出典: [日本自動車会議所])。 内陸国(ザンビア+37.3%、コンゴ民主共和国+55.5%)への陸送ゲートウェイとしての機能も拡大しており、東アフリカ回廊全体の伸びとして捉えるべき動きです(出典: 財務省貿易統計を基にJapanCarrier集計)。
📌 信頼できる情報ソース: [providecars] / [日本自動車会議所]
🔍 スリランカ向け中古車輸出はなぜ2.4倍になったのか(輸入解禁2年目の本格化)
結論: 2025年2月の乗用車輸入解禁から2年目に入り、ディーラー網・決済ルートが整って輸入が本格化したためです。 5月は7,335台(前年同月比139.6%)、1〜5月累計は32,219台(同243.2%)。輸入禁止下の2024年は年間わずか83台だった市場が、2026年は累計6位相当まで一気に育っています(出典: 財務省貿易統計を基にJapanCarrier集計、解禁の経緯は[日本自動車会議所])。 1️⃣ 2025年2月の輸入解禁と段階的な規制緩和
経済危機対応で2020年から続いた輸入禁止が2025年2月に解除され、月次推移(1月5,136台→3月8,356台→5月7,335台)を見ても月5,000〜8,000台の巡航ペースが定着しつつあります。
2️⃣ 右ハンドル・低年式規制との相性
スリランカは右ハンドル市場であり、日本車の中古が最も供給しやすい市場構造です。年式規制・関税制度の詳細は輸出前に最新の現地規制を確認してください。
📌 信頼できる情報ソース: [日本自動車会議所] / [providecars]
🔮 今後の市場予測とビジネスチャンス
1. 「UAEの穴」はどこで埋まるか。 5月の総計前年割れ(▲4.5%)はUAE要因が大部分です。ホルムズ情勢が沈静化すれば湾岸向けは反発余地がありますが、いったん東アフリカ直行・スリランカ・右ハンドル先進国へ流れた商流は簡単には戻りません。タンザニア(累計+83.8%)・スリランカ(+143.2%)・ニュージーランド(+23.2%)・チリ(+18.1%)が受け皿の本命です。
2. 右ハンドル先進国のハイブリッド需要。 英国(累計+65.9%)・アイルランド(+81.3%)は単価の高いHV中心の成長市場で、台数以上に採算面の妙味があります(出典: providecars 前掲)。
3. 為替は円高リスクを織り込む局面。 2026年末のドル円予想は大手3社で146〜152.5円(野村152.5円・三井住友DS150円・大和AM146円)と、円安ボーナスの縮小が既定路線です。仕入れ・値付けは円高シナリオでのストレステストを推奨します(出典: [野村證券]・[三井住友DSアセットマネジメント]・[大和アセットマネジメント])。
4. 監視すべきリスク: ロシアの規制強化・中国車競合(前述)、ホルムズ情勢の再燃、モンゴルの反動減(累計▲11.8%)。
中古車輸出の市場選定でお悩みですか? JapanCarrierでは、最新の輸出統計と各国の規制動向を踏まえたご相談を承っています。仕向け国の選定・輸出実務についてはお気軽に[お問い合わせ]ください。 ❓ よくある質問(FAQ)
Q1. 2026年5月の日本の中古車輸出先1位はどこですか?
ロシアです。2026年5月は18,257台(前年同月比113.2%)で、3月から3ヶ月連続の首位となりました。2位はタンザニアの14,495台(同170.5%)です(出典: 財務省貿易統計を基にJapanCarrier集計)。
Q2. UAE向けの中古車輸出はなぜ激減したのですか?
2026年3月のホルムズ海峡封鎖威嚇による海上運賃・戦争保険料の高騰、ドバイ・ジェベルアリ港の入港減、国内オークション相場高止まりによる採算悪化が主因です。5月はわずか283台(前年同月21,333台)と事実上停止し、需要は東アフリカ直行などへ再配分されています。
Q3. ロシア向け中古車輸出にはどのような規制がありますか?
日本側の輸出規制(2023年8月〜)により、排気量1900cc超のガソリン車・ディーゼル車、HV・PHV・EV、600万円超の車両は輸出禁止です。ロシア側では2025年12月に160PS超(電動車80PS超)のリサイクル税が引き上げられました。規制対象外の小排気量・低価格帯が現在の主力です。
Q4. スリランカ向けはなぜ急増しているのですか?
経済危機対応で2020年から続いた乗用車の輸入禁止が2025年2月に解禁されたためです。輸入禁止下の2024年は年間83台でしたが、2026年は1〜5月累計だけで32,219台(前年同期比243.2%)に達しています。
Q5. 2026年の中古車輸出市場全体はどうなっていますか?
1〜5月累計は695,371台(前年同期比102.5%)と過去最高だった2025年(1,708,604台)を上回るペースですが、5月単月はUAE急減の影響で137,750台(前年同月比95.5%)と前年割れでした。市場全体の縮小ではなく、仕向け先の急速な再配分が起きています。
Q6. 日本の中古車輸出統計はいつ・どこで発表されますか?
一次データは財務省貿易統計(税関)です。当月分の速報は翌月中〜下旬、輸出確報は翌月末頃に公表されます。公表日程は[税関の公表予定カレンダー]で確認できます。
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