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4月の中古車輸出統計:米国&フィジーが爆買い、ミャンマー&ジャマイカが急停止

  • fukada93
  • 6月30日
  • 読了時間: 12分

更新日:4 日前

🌟 4月の中古車輸出動向の統計解析


2025 年 4 月の日本発中古車輸出データを月次比較すると、米国(+57.1 %)とフィジー(+46.4 %)がトップ増、ミャンマー(-90.5 %)とジャマイカ(-51.7 %)がワースト減

背後には〈関税前の駆け込み〉〈観光復活と環境減税〉〈左ハンドル義務&国境混乱〉〈PSI(事前検査)義務化と通貨安〉という4つの構造要因がありました。以下、現地報道・政府通知など一次情報をもとに解説します。

4月の中古車輸出台数グラフ

3月から4月の増減割合

🎨 上位2国:輸出急増と減少の要因と、ローカル分析


🏆 最大の増加を見せた国と増加率

  1. 米国(+57.1 %)

  2. フィジー(+46.4 %)


最大の減少を見せた国と減少率

  1. ミャンマー(-90.5 %)

  2. ジャマイカ(-51.7 %)


🔍 米国の中古車輸入が急増した要因


🏆 1位:米国+57.1 %

💡 なぜ急増?


1️⃣ 関税“発射”前の駆け込みがトリガー

  • 25 %追加関税のタイムライン

    • トランプ政権は3 月25日に輸入乗用車へ 25 %関税 を正式決定し、4 月3日0時 適用開始を告示。

    • 決定翌週から「通関日ベースで4 月2日までに入港すれば無税」という通知が港湾・物流各社に共有されました。

  • 統計が示す“前倒し入庫”

    • 3 月米小売売上は 自動車部門が+4.6 %と突出、エコノミストは「関税前の駆け込み購入」と分析。

    • 4 月に実際の通関台数が急増したのは、日本‐西海岸Ro-Ro船の所要14〜17日がちょうど重なったため。


2️⃣ ディーラーとメーカーの“在庫バッファ”戦略

事例

概要

出典

トヨタ

4 月北米販売+8 %、「関税前ラッシュ」が寄与

Bloomberg

メルセデス

4 月1日時点で「米国内在庫を前倒し補充」とアナリスト向け説明

Reuters

全体市場

Q1米自動車販売+4.8 %、在庫は「まだ2 〜 3か月分の余力」と業界紙

CarsCommerce

ディーラーは関税コスト転嫁を遅らせるために“タリフ・バッファ”を確保し、4 月初旬の通関ピークで在庫を積み増しました。


3️⃣ 中古車マーケットの引力:価格と需要

  • 価格指数の急騰

    • Manheim Used Vehicle Value Index (MUVVI) は4 月に 前月比+2.7 % / 前年比+4.9 % と急伸。関税発表が「追加在庫確保→オークション価格上昇」を招いたと分析。

    • コックス・オートモーティブは「関税が新車価格を4 〜 8 %押し上げ、中古車に波及」と試算。

  • 需要シフトの現場

    • 中古車店頭価格も上昇し、買い替えユーザーが“下取り差額”を確保しにくくなった結果、CPO(認定中古車)販売は4 月前月比▲5.9 %だがYoY +11 % を維持。

    • CBT Newsは「タリフ発動の報道と同時に中古車問い合わせが急増」と報道。


4️⃣ マクロ環境:ドル高・物流・政策

  • 為替の味方

    • 3 月平均 ¥149/US$ → 4 月 ¥144/US$ と円高に触れたが、2月比では依然円安圏。輸入コスト優位が続き、ROEで+3 〜 4 %の余力が出たとディーラー団体は試算。

  • 太平洋航路のスペース確保

    • 4 月第2週、アジア→USコンテナ市況は中国貨物減速で Blank Sailing(欠航) が増え、車両専用船(PCC)は逆に臨時便を設定。

  • 政策シグナル

    • USTRのNTE報告は「関税が国内購買力を下げ、低所得層へ負担集中」と警告。

    • 7 月9日の“再協議期限”まで追加緩和の余地が残ると日米交渉団はコメント。


5️⃣ 今後の展望と実務ヒント

チェックポイント

影響

推奨アクション

関税の恒久化可否(7 月以降)

恒久化なら仕向け量は年末に向け▲15〜20 %減リスク

5 月末まで追加ロット確保、港湾通関スロット確実化

中古車価格指数

MUVVIが210超で推移なら再仕入れコストが上昇

フリート向けにCPO/リースアップ車を日本から重点補充

ドル高推移

1ドル=¥150再突破なら再びコスト優位

6か月先物でドル買いヘッジ、FOBベースで粗利確保

物流混雑

Blank Sailing継続で船腹タイト化

輸送契約を年単位の最低ロール保証へ変更

まとめ

米国市場の輸入急増は、「関税ショック × 事前在庫積み増し × 中古車市場過熱」という三重奏が生んだ“瞬間風速”でした。7 月の交渉行方と中古車価格指数の推移が、下期の輸出ボリュームを左右します。日本側エクスポーターは 「早期B/L発行・為替ヘッジ・中古車ミックス最適化」 を急ぎ、関税リスクを乗り越えるシナリオを描くべき局面です。



🔍 フィジーの中古車輸入が急増した要因


🏆 2位:フィジー(+46.4 %)

💡 なぜ急増?


1️⃣ 数字で読むフィジーブーム

  • 輸出台数:3 月 476 台 → 4 月 697 台で +46.4%(日本税関速報)。

  • 観光客:4 月の訪問者は 80,363 人(前月比+25.9%)でコロナ前水準を超過。

  • 輸入額:2024 年の日本車輸入は US$60.4 million と前年比+18%で22年の倍額ペース。


2️⃣ 需要サイド:観光&レンタカー復権

2-1 観光回復が“足”を呼ぶ

フィジー統計局によれば、2025 年 4 月の訪問者は前年同月比+4.0%で3 ヶ月連続増。観光依存度 40%超の同国では、空港到着客数=レンタカー需要に直結し、主要レンタカー各社は「HV・低燃費セダン」を大量発注中と地元紙が報道。

2-2 ライドシェア&宅配の台頭

COVID 以降定着した宅配フード&配車アプリの拡大で、個人事業主が維持費の安い日本製中古ハイブリッドへシフトする動きも加勢しています。


3️⃣ 政策サイド:グリーン減税と年式規制

政策

概要

影響

EV・HV関税ゼロ/VATゼロ

2022/23 予算で輸入 VAT 9%→0%、EV・HVの輸入関税も大幅減免

ハイブリッド車のFOBコストが最大1,500 FJD低下

ハイブリッド年式ルール“5年”

2024 年 1 月以降、HVは 2019 年式以上 に限定、ガソリンは 2017 年式以上に引上げ。

ディーラーは規制実施前に19-23 年式HVを前倒し輸入

旧型ICE課税強化

2022/23 予算で中古ICEに 1,000 FJD 追加課税、豪華車税も導入。

低排気量HVへ需要シフト

4️⃣ 供給サイド:物流・為替・船腹

  • 4-1 船腹確保とルート安定

Swire Shipping の Pacific Weekly Express (PWX) などが東南アジア~フィジーを週次で直結し、3 月に“臨時 PCC 便”を追加。Ro-Ro 船の14-17日リードタイムが読めるため、ディーラーは4 月前半に集中通関を実施。

  • 4-2 為替と資金調達

4 月の FJD/JPY 実効レートは 1 FJD ≒ 65 JPY と昨年比で 3%円安方向へ推移し、仕入れコストに追い風。さらに 0% VAT でキャッシュフローが改善し、中小ディーラーでも追加入庫が可能に。


5️⃣ ディーラーモデル:在庫積み増しとファイナンス

  • 頭金ゼロ分割プラン:地場大手ディーラーが 48-60 か月ローンを導入し、月 600 FJD 台の支払いでハイブリッド車を提供。

  • レンタカー向けCPO:レンタカー各社が 3-4 年落ちプリウス/アクアを優先購入し、燃費性能とメンテコスト削減を狙う。

  • 保険&整備一体パッケージ:グリーン税制を背景に、HV向けの低額保険・補助金付きタイヤ交換プランを組み合わせ、買い替え需要を取り込む。


まとめ

フィジーの +46.4% 急伸は、「観光需要の復活 × グリーン減税 × 年式規制の前倒し在庫」 が噛み合った結果です。目先は VAT 改定や船腹タイト化が波乱要因ですが、海と観光に依存した島国ゆえ燃費・環境性能の高い日本中古ハイブリッドの優位は揺らぎません。2025 年後半のビジネスチャンスを取り込むカギは、規制アップデートの早期察知とレンタカー業界との協業モデルにあります。


🔍ミャンマーの中古車輸入が急減した要因


1位:ミャンマー(-90.5 %)

💡 なぜ急減?


1️⃣ 輸出台数急落の数字を読む

  • 3 月 2,099 台 → 4 月 200 台(-90.5 %) は、主要仕向け国の中で最大のマイナス幅。

  • 通関統計によると右ハンドル車の輸入許可件数は 0 件 (4 月)で、事実上の全面停止が裏付けられました。


2️⃣ 政策ドライバー

  • 2-1 左ハンドル義務と年式制限

ミャンマー政府は 2025 年輸入指針で「2024/25 年式かつ左ハンドルのみ許可」を継続し、右ハンドル日本車を全面的に排除しました。ディーラーは規制緩和を見込めず、4 月の発注を停止。

  • 2-2 EV優遇と ICE 課税

6 月発効の財務省通知で EV/SKD 車の関税を 0 ~ 3 % に引き下げ、一方ガソリン車には追加環境課税を導入し ICE が相対的に割高化。市場は EV/ハイブリッドへ資金をシフトしています。


3️⃣ 物流ボトルネック:国境封鎖と車両押収

ルート

状況

影響

Myawaddy – カレン州

2023 年12 月以降、武装衝突で アジアハイウェー閉鎖 が断続。

通関遅延が数週間単位に拡大

Mae Hong Son(タイ)

2025 年6 月24 日、輸送トラックから 中古車数百台を押収

税関リスク増大でバイヤーが手控え

タイ側での押収は「部品混載による脱税疑惑」が理由と報じられ、輸送保険料が急騰しました。


4️⃣ 通貨と外貨規制

  • 4-1 通貨安

MMK は 2025 年4 月平均で 1USD ≈ MMK 2,098 と市場実勢は 対ドル▲23 % 安。輸入コストが跳ね上がり、L/C 開設が困難に。

  • 4-2 外貨管理の強化

中央銀行は 2024 年末~2025 年、輸入税・関税を“市場週次レート”で算定する制度へ移行し、ドル払い要件を厳格化。さらに違法 FX 取引への摘発を強化し銀行決裁が滞っています。


5️⃣ 制裁・信用収縮

米 OFAC は 2024 年11 月に ビルマ制裁規則を拡充。輸送・自動車を含む「指定ハイリスク分野」で取引審査が厳格化しました。米国務省の 2024 年投資環境報告も「ドル決済の障害が拡大」と指摘。保険会社はプレミアムを 30 % 引き上げ、並行輸入業者の資金繰りを圧迫しています。


6️⃣ ディーラー・消費者の反応

  • 在庫縮小:主要中古車市「Saya San Road」では在庫が平時の 20 % 程度に激減と現地紙が報道。

    価格高騰:右ハンドル車の店頭価格が前年比+35 %。一方、輸入許可のある左ハンドル中国製 EV が広州市場価格+15 % 程度で流通し始めています。

  • 資金調達難:外貨決済規制で銀行ローンが凍結状態、現金仕入れが主体に。


まとめ

ミャンマー向け中古車輸出の“蒸発”は、「政策規制 × 物流遮断 × 外貨統制 × 制裁」 が同時に重なった結果です。短期的に右ハンドル中古車の需要回復は見込み薄で、左ハンドル HV/EV への早期切り替えと代替物流ルートの確保が急務となります。一方、外貨規制と制裁環境は変動的であり、為替ヘッジと複数国籍金融スキームを組み合わせた資金調達が、2025 年下期の生命線になるでしょう。



🔍 ジャマイカの中古車輸入が急減した要因


2位:ジャマイカ(-51.7 %)

💡 なぜ急減?


1️⃣ 輸入制限と新車ディーラーへの支援策

  • 1-1 輸入規制強化

2024年11月、ジャマイカ政府は中古車の輸入規制を強化しました。特に、5年以上経過した中古車には追加関税を課し、年式が古い車両の輸入が難しくなっています。この規制により、特に日本車の多くが輸入できなくなり、市場供給が減少しました。更に、年式制限が強化され、2018年式以上の車両に限定されることが多くなりました。

  • 1-2 新車ディーラーへの支援

同時に、ジャマイカ政府は新車ディーラーへの支援措置として、輸入関税の保証金を従来の100%から20%に引き下げました。これにより、新車の輸入が促進され、新車市場の需要が高まりました。新車に対する関税優遇措置が、価格競争を引き起こし、中古車市場への影響を強めています。この政策は中古車市場にとっては競争力の低下を意味し、特に低価格帯の中古車の需要が減少しました。


2️⃣ 事前検査(PSI)義務化と通貨安

  • 2-1 PSI(事前検査)義務化

政府の輸入規制強化に加え、PSI義務化も影響を与える要因の一つです。2025年7月1日より、ジャマイカへのすべての中古車輸入に対してPSI(事前検査証)が義務化されます。これにより、輸出業者はPSI手数料(150 USD〜)と検査待ち時間の延長を考慮する必要があり、コストが上昇しました。特に、日本からの中古車の輸入業者は、PSIの手続きのために追加的な時間とコストを要することになります。


  • 2-2 通貨安と輸入コスト

ジャマイカドル(JMD)は、2024年後半から米ドルと円の為替レートが急激に変動し、1ドル=J$165(2025年4月)に達しました。これにより、輸入コストが急増し、為替差損が輸入業者に重くのしかかりました。

特に、日本からの中古車は円建てで取引されることが多く、この円高により為替リスクが高まりました。


3️⃣ 中古車市場の需要減少と供給過多

  • 3-1 新車優遇政策の影響

政府が新車ディーラーに対する関税減免を進める一方で、中古車市場の需要と供給のバランスが崩れました。特に新車が安価で提供されることにより、低価格帯の中古車が競争力を失い、消費者が中古車から新車へとシフトしています。この新車と中古車の価格差が縮小することで、中古車の需要が大きく減少しました。


  • 3-2 中古車販売業者の苦境

ジャマイカ国内の中古車販売業者は、売上の減少と在庫の増加という二重の苦境に直面しています。特に、輸入規制強化により在庫が売れず、キャッシュフローが滞る問題が発生しています。販売業者は価格調整やローン条件の見直しを試みていますが、価格の上昇は消費者にとって購買意欲を削ぐ要因となり、依然として販売が低迷しています。


4️⃣ 経済全体の輸入減少傾向

ジャマイカ全体の輸入は、2024年10月までのデータで前年同期比3.4%の減少を記録しています。特に原材料や燃料の輸入が減少しており、これが中古車の輸入減少にも影響を与えていると考えられます 。


5️⃣ 中古車市場の需要と供給のミスマッチ

新車ディーラーの支援策や輸入制限により、中古車市場は供給過剰となり、需要とのバランスが崩れています。これにより、価格の下落や販売の停滞が見られ、輸出業者の取り扱いが難しくなっています。


まとめ

ジャマイカの中古車市場は、輸入規制や新車市場への支援策など、複数の要因が重なり、輸出台数の急減が見られます。今後の市場動向を注視し、柔軟な対応が求められる状況です。

国名

Country name

3月

4月

増減割合

ロシア

RUSSIA

15,083

16,157

7.1%

アラブ首長国連邦

UAE

24,037

26,148

8.8%

モンゴル

Mongolia

9,342

8,379

-10.3%

タンザニア

Tanzania

8,854

8,078

-8.8%

ニュージーランド

NEW ZEALAND

6,942

7,286

5.0%

バングラデシュ

BANGLADESH

2,338

1,644

-29.7%

フィリピン

PHILIPPINE

4,086

3,632

-11.1%

タイ

Thailand

4,578

4,547

-0.7%

ケニア

KENYA

5,585

6,039

8.1%

ジャマイカ

JAMAICA

3,562

1,722

-51.7%

南アフリカ共和国

SOUTH AFRICA

5,507

5,826

5.8%

マレーシア

MALYSIA

4,627

3,293

-28.8%

チリ

CHILE

8,077

7,331

-9.2%

ウガンダ

Uganda

4,089

3,873

-5.3%

オーストラリア

AUSTRALIA

1,666

1,444

-13.3%

ザンビア

Zambia

1,531

1,452

-5.2%

英国

United Kingdom

1,775

1,885

6.2%

アメリカ合衆国

United states of america

1,024

1,609

57.1%

モザンビーク

Mozambique

1,861

1,457

-21.7%

ガイアナ

Guyana

1,758

2,147

22.1%

コンゴ民主共和国

Democratic Republic of the Congo

1,301

1,141

-12.3%

アイルランド

Ireland

1,130

1,129

-0.1%

ミャンマー

Myanmar

2,099

200

-90.5%

ナイジェリア

Nigeria

2,389

2,541

6.4%

ジョージア

Georgia

1,345

1,410

4.8%

フィジー

Fiji

476

697

46.4%

ガーナ

Ghana

1,858

1,868

0.5%

シンガポール

SINGAPORE

345

383

11.0%

ジンバブエ

Zimbabwe

1,038

1,044

0.6%

バハマ

Bahamas

806

552

-31.5%


Thank you for your continued support of Japan Carrier.


The Japan Carrier Team

 

 

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