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2025年5月の中古車輸出レポート!注目の “急伸&急落” 4市場を徹底解剖

  • fukada93
  • 8月1日
  • 読了時間: 9分

更新日:9月6日

🌟 2025年5月の中古車輸出動向の統計解析


5月の総輸出台数(主要30カ国計)は 120,257台(前月比 ▲6.5%)。全体は緩やかな調整局面に入ったものの、政策インセンティブ型の“急伸国” と 制度・物流コスト型の“急落国” が鮮明に対比される1か月となりました。以下では増減率トップ2/ワースト2を取り上げ、現地一次情報を基に多角的に分析します。


5月の中古車輸出台数グラフ
4月から5月の中古車輸出台数

🎨 上位2国:輸出急増と減少の要因と、ローカル分析


🏆 最大の増加を見せた国と増加率

  1. バハマ: +75.5%

  2. ジャマイカ: +72.2%


最大の減少を見せた国と減少率

  1. シンガポール: -61.4%

  2. モンゴル: -36.7%


🔍 バハマの中古車輸入が急増した要因


🏆 1位:バハマ(+75.5%)

💡 なぜ急増?


1️⃣ 政府の関税政策の変更

5月28日公表の2025/26年度予算案で、20トン超の商用車について輸入関税を完全撤廃。簡易な承認証明書発行のみで無制限に免税対応となり、レンタカー会社や物流業者が駆け込みで大量買付けを実行。 Office of the Prime MinisterThe Bahamas Customs Department -


2️⃣ 為替の安定と円安恩恵

バハマドルは1966年以降1USD=1BSDのペッグ制を維持。5月の円相場は1USD=約153円で推移し(例年比で約5%円安)、仕入れコストを大幅に低減。 centralbankbahamas.com


3️⃣ 観光需要の前倒し拡大

2024年の観光客数は1,122万人と過去最高を記録。夏のハイシーズンを控え、レンタカー/ツアー用SUV・バン需要が急増し、現地ディーラーの在庫確保競争が激化。 トラベルパルスウィキペディア


4️⃣ 通関手続きの簡素化

2025年のタリフ改正法案で「商業目的輸入向け無制限免税」が承認証明書のみで適用可能に。港湾での保税エリア解放が迅速化し、停滞日数が短縮。 The Bahamas Customs Department -


5️⃣ ディーラーと金融機関の支援強化

Bank of the Bahamas が中古車含む自動車ローンを 最大100%融資、最長8年返済 で提供開始。大手ディーラーもローンキャンペーンを展開し、法人・個人の買付けを後押し。 bankbahamas.com


📌 信頼できる情報ソース

🔮 今後の市場予測

  • 7月施行後の反動減を見据え、在庫回転を30日以内に短縮。

  • 夏期ピークシーズンまでの船腹・コンテナ枠確保を継続し、価格上昇リスクを回避。

  • 金融支援策の動向を注視しつつ、EV/ハイブリッド車を含むラインアップ拡充で需要をさらに喚起。


🔍 ジャマイカの中古車輸入が急増した要因


🏆 2位:ジャマイカ(+72.5%)

💡 なぜ急増?


1️⃣ 政府の輸入関税ボンド 80%削減

2025/26 年度予算演説で、新車ディーラーが納付する関税ボンドを100%→20%へ大幅緩和。拘束されていた運転資金が解放され、ディーラー各社が輸入枠を一気に拡大し、中古車にも“波及需要”が生まれた。jamaicaobserver.comCNW Network


2️⃣ 為替の安定と金融緩和

ジャマイカドルは 2025 年初来で対 USD の変動幅が ±2%と小さく推移し、円安(5 月平均 1USD≒JPY153)が仕入れコストを下押し。さらに BOJ が 5 月 20 日に政策金利を 25bp 引き下げ(6.00→5.75%) たことで、自動車ローン金利が低下し、購入意欲を後押し。Bank of JamaicaBank of Jamaica


3️⃣ 港湾混雑の緩和と通関リードタイム短縮

ポート・オーソリティ・オブ・ジャマイカ(PAJ)がキングストン港のコンテナ混雑対策として追加ヤード確保や在庫モニタリングを実施。輸入車の通関に要する日数が第1四半期比で短縮され、ディーラーが在庫回転を早められる環境が整った。jis.gov.jm


4️⃣ ハイブリッド/EV 需要の台頭

燃料価格の高止まりと政府の環境インセンティブを背景に、ハイブリッド車・EV の関税優遇が強化。軽量ハイブリッド(Aqua/Fit)やバンタイプのハイブリッド商用車が即完売となり、追加発注が相次いだ。jamaicauto.com


5️⃣ ディーラー販促と融資競争

大手ディーラーが「春のメガ・セール」を展開し、頭金 0%・金利 5%台 のプロモーションローンを投入。BOJ の金利引き下げを受けた商業銀行の競争が拍車をかけ、個人・法人ともに購入ハードルが低下。Bank of Jamaica


📌 信頼できる情報ソース

  • Jamaica ObserverCaribbean National Weekly:関税ボンド削減の詳細と業界インタビュー jamaicaobserver.comCNW Network

  • Jamaica Information Service (JIS):港湾混雑対策とヤード拡張計画 jis.gov.jm

  • Bank of Jamaica (BOJ):政策金利変更通知・為替統計 Bank of JamaicaBank of Jamaica

  • Automotive Industry Jamaica 2025 レポート:ハイブリッド/EV 需要拡大トレンド jamaicauto.com


🔮 今後の市場予測

  • ボンド緩和は恒久施策 と見込まれ、中古車市場のベース需要は前年水準を上回って推移。

  • ハイブリッド/EV 優遇税制 が正式法制化されれば、2026 年にかけて環境対応車の輸入がさらに拡大。

  • 港湾インフラ整備(Caymanas 特区や追加ヤード)の進展により、物流ボトルネックは段階的に緩和。

  • 一方で、COE 高騰が続くシンガポール向けの回復次第では輸出台数の振替需要が発生し、局所的な船腹不足が再燃する可能性があるため、配船計画の柔軟性が鍵となる。


🔍 シンガポールの中古車輸入が急減した要因


ワースト1位:シンガポール(-61.4%)

💡 なぜ急減?


1️⃣ COE(車両登録権)の高止まり

5月第2回入札で Cat A は S$102,501、Cat B は S$116,988。いずれも 10 万S$超で推移し、登録総コストは FOB の約 1.8 倍に跳ね上がった。Motorist.sgAsiaOne


2️⃣ 依然としてタイトな COE 供給

LTA は 5–7 月期の総クオータを 18,232 枚へやや増枠したものの、Cat A 月間枠は平均 1,267 枚と需要を大きく下回る水準。落札競争が続きプレミアムの急低下が起こらず、中古車輸入の“待機”を招いた。lta.gov.sglta.gov.sg


3️⃣ 高金利と融資規制の二重負担

市中の自動車ローン金利は 2.78 %(実効 5 % 前後) が主流。MAS は 4 月時点で S$NEER の緩やかな上昇を継続し、金利水準の本格緩和には至っていないため、購入者の月額負担が重い。ocbc.commas.gov.sg


4️⃣ 家計のコスト意識と景気の足踏み

コアインフレは 0.6 % と低位ながら、賃金上昇の鈍化と GDP 成長率 0–2 % 見通しが示す弱含みの経済環境で、一部世帯が高額耐久財購入を先送り。ディーラー側も在庫調整に入った。Reuters


5️⃣ EV/ハイブリッド政策とのミスマッチ

政府は環境対応車の導入を推進するが、COE プレミアムは動力区分を問わず横並び。EV の高額バッテリーコストと COE を同時に負担する形になり、購買インセンティブが機能しにくい状況。


📌 信頼できる情報ソース

  • Land Transport Authority (LTA):COE クオータ 5–7 月期発表、入札結果 PDF。lta.gov.sg

  • Motorist.sg & AsiaOne:2025 年 5 月第2回入札のプレミアム詳細。Motorist.sgAsiaOne

  • OCBC / DBS / UOB:自動車ローン金利 2.78 %–2.98 %。ocbc.com

  • MAS Monetary Policy Statement(2025-04-14):金融政策方針と金利環境。mas.gov.sg

  • Reuters(2025-06-23):コアインフレ 0.6 %、GDP 下方修正。Reuters


🔮 今後の市場予測

  • COE が 97,000 S$ を割り込むかが回復のトリガー。入札結果を隔週監視し、“スポット船腹”で即応する体制が必要。

  • MAS が追加緩和に踏み切ればローン金利が低下し、中古車需要が復調する可能性。

  • 2026 年施行予定の ZEV(排ガスゼロ車)比率規制が近づくにつれ、中古ハイブリッド車のニッチ需要が再浮上する見込み。

  • いずれにしても、COE プレミアム × 金利 × 為替の三重コストをリアルタイムにモニタリングし、配船枠と在庫を機動的に再配置することがリスク最小化の鍵となる。


🔍 モンゴルの中古車輸入が急減した要因


ワースト2位:モンゴル(-36.7%)

💡 なぜ急減?


1️⃣ “10年超”車両への登録制限強化

ウランバートル市は 2025年6月1日以降、製造から10年以上経過した車両には新規ナンバーを発給しない 新基準を導入。輸入しても首都で登録できないリスクが顕在化し、ディーラーは在庫圧縮へ転じた。Asia News Network


2️⃣ ロシア鉄道(RZD)の運賃17〜22%値上げ

モンゴル向け陸送の大動脈 シベリア幹線 で、RZD は 2024-25年にかけ段階的な運賃引き上げを実施。2025年1月時点で総額 +17〜22% のコスト増となり、FOB価格に対する輸送費比率が急騰。thecoalhub.cominterfax.com


3️⃣ トゥグルグ(MNT)の緩慢な下落

輸入決済の大半を占める USD 建てコストが、年初来で約4〜5%目減りした MNT 安と重なり割高感が強まった。輸入業者の与信枠も圧迫され、仕入れ水準を抑制。Trading EconomicsLinkedIn


4️⃣ 国境物流のボトルネック

シベリア経由列車に加え、中国側 エレンホト(Erenhot)–ザミンウード(Zamiin-Uud) 陸路でも混雑が長期化。24時間通関の試行は始まったものの、実質リードタイムは+10〜14日 との報告が続き、調達計画が後ろ倒しに。MNニュース


5️⃣ 需要の質的転換と“買い控え”

車齢規制を機に、首都消費者は “10年未満・寒冷地仕様・左ハンドル” を求める傾向へシフト。旧型モデルは地方や再販市場に向けた再調整が必要となり、短期的な輸入量が急減した。


📌 信頼できる情報ソース


🔮 今後の市場予測

  • 10年未満車の需要は継続:寒冷地仕様SUVやディーゼル4WDは依然強いニーズ。

  • 物流コストの高止まり:RZD が追加値上げに踏み切れば、天津港経由のマルチモーダル輸送が主流化。

  • 為替リスクの注視:MNT の下落幅が 3,600 MNT/ USD を超えると、購買力の更なる低下が懸念される。

  • 政策リバウンドに備えた柔軟配船:首都以外の登録需要や隣接国(カザフスタン、キルギス)への転用を前提に、船腹予約→陸送手配 をモジュール化しておくことがリスクヘッジとなる。


まとめ


政策で跳ねる国”はスピードが利益を生むボーナス・ウィンドウ、一方、制度コストで冷える国流動性確保と初動速度が損失を防ぐ保険。経営層に求められるのは――

情報速度(RegTech × FinTech) × オペレーション速度(船腹・在庫・資金回転)

この掛け算を最大化し、国別ポートフォリオを“動的最適化”することで、次のサイクルでも持続的な超過リターンを狙える。6 月以降は UAE の回復軌道 と COE の反落シグナル が新たなレバレッジポイントとなる。俊敏な意思決定体制を整え、次の波に備えたい。


国名

Country name

4月

5月

増減割合

ロシア

RUSSIA

16,157

16,125

-0.2%

アラブ首長国連邦

UAE

26,148

21,333

-18.4%

モンゴル

Mongolia

8,379

5,308

-36.7%

タンザニア

Tanzania

8,078

8,500

5.2%

ニュージーランド

NEW ZEALAND

7,286

6,019

-17.4%

バングラデシュ

BANGLADESH

1,644

2,050

24.7%

フィリピン

PHILIPPINE

3,632

3,513

-3.3%

タイ

Thailand

4,547

5,888

29.5%

ケニア

KENYA

6,039

7,373

22.1%

ジャマイカ

JAMAICA

1,722

2,971

72.5%

南アフリカ共和国

SOUTH AFRICA

5,826

5,786

-0.7%

マレーシア

MALYSIA

3,293

2,246

-31.8%

チリ

CHILE

7,331

5,816

-20.7%

ウガンダ

Uganda

3,873

2,689

-30.6%

オーストラリア

AUSTRALIA

1,444

1,692

17.2%

ザンビア

Zambia

1,452

1,270

-12.5%

英国

United Kingdom

1,885

2,566

36.1%

アメリカ合衆国

United states of america

1,609

1,552

-3.5%

モザンビーク

Mozambique

1,457

1,149

-21.1%

ガイアナ

Guyana

2,147

2,223

3.5%

コンゴ民主共和国

Democratic Republic of the Congo

1,141

1,170

2.5%

アイルランド

Ireland

1,129

1,046

-7.4%

ミャンマー

Myanmar

200

204

2.0%

ナイジェリア

Nigeria

2,541

2,173

-14.5%

ジョージア

Georgia

1,410

1,293

-8.3%

フィジー

Fiji

697

767

10.0%

ガーナ

Ghana

1,868

1,824

-2.4%

シンガポール

SINGAPORE

383

148

-61.4%

ジンバブエ

Zimbabwe

1,044

1,102

5.6%

バハマ

Bahamas

552

969

75.5%


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The Japan Carrier Team


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